コラム

2015/05/16

人材育成が急務(新潟・SS)

木質構造の人材育成が急務


▼木造校舎の構造設計標準(JIS-A-3301)が、1956年の制定以来、初めて全面改正となった。設計技術者が容易に木造校舎の建設に取り組めるように制定された規格だが、制定以来大幅な見直しはされず、実質は形骸化していた。今回の改定ではプレカットなどを想定し、現在の木材加工や流通に基づいたものとなっている


▼東日本大震災の津波で被災した岩手、宮城、福島3県の小中高校の建て替えによる学校の建設計画は大幅に遅れている。計画された計30校のうち4月までに始業式を迎えられたのはわずか4校のみ


▼移転先の用地交渉の難航や移転用地の整備の遅れのほか、復興事業が本格化するなかで型枠工、鉄筋工などの職人や資材不足が深刻化。労務費などの実勢価格の上昇は著しく、入札工事の不調の増加も建設が進まない原因となっている


▼公告された宮城県山元町の山下第二小学校は、資材高騰や職人不足に影響されやすいコンクリートの校舎ではなく、木造の2階建て校舎(延床面積約4950㎡)。設計は佐藤総合計画とアトリエ系設計事務所のSUEP(スープ)が担当。東北の建設費高騰や職人不足による不安定な状況の中、在来木造構造を採用し、コスト高の影響を回避し工期の短縮を狙う


▼2010年に「公共建築物等木材利用促進法」施行されたが、木造化の流れはまだ十分とはいえない。コンクリートが主流の中で木造建築物に詳しい設計者が少ないことも要因だろう。設計者も集成材などで構成される木質構造を新たに勉強するのは大変だが、学校での教育を含め木材と木質構造に精通した者の育成が急務といえる。(新潟・SS)


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