コラム

2015/05/21

市内業者に受注機会を(埼玉・HK)

市内業者に受注機会を


▼埼玉県内のとある市が先日、学校など複数の教育施設における空調設備のリース契約を電気式とガス式に分けて発注した。県外に本店を持つ大手空調設備業者を指名し、それぞれおよそ7~10億円で落札された。仕様書には市内の管工事工業組合員へ設備の維持管理を委託することを要件とし、地元への配慮も見せたようだった


▼この市は競争入札において、県内では珍しく未だにほとんどの物件を指名入札で行っており、市内業者の受注機会は多い。入札制度の良し悪しはさておき、公平性や透明性の確保、経費削減の名のもとに一般競争入札を採用、推進してきたほかの自治体とは一線を画しているとも言えよう


▼さらに、毎年行われている優秀建設工事施工業者表彰では30社近い市内業者を選出するなど、地元業者と良好な関係を築いてきた。だからこそ今回も市内業者は受注機会を期待し、より細分化された発注を望んでいただろうし、結果的に「排除された」という思いが生じたかもしれない


▼「公共事業費を削減すべし」という風潮は未だに根強い。複数の施設における空調のリース契約をまとめて発注することで事業費を削減できると考え、今回の発注形態に至ったことも理解できる。しかし、学校施設への空調設備設置は子どもたちが、より優れた環境で学習するための適正な施策なのだから、目先の事業費削減は必要なかったのではないか


▼法人税を納めるとともに、公共事業において地域の発展に貢献し続けてきた者こそ、インセンティブを与えられるべきだし、市内業者の受注機会拡大こそ経済の好循環を生むと確信している。(埼玉・HK)


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