コラム

2015/05/27

仕事は段取り八分で(前橋・OS)

仕事は段取り八分で


▼国道上に橋を架ける、地元で注目される工事の施工者に話を聞いた。交通量の多い国道を20分通行止めにして架設する難工事。深夜にもかかわらず多くの見物人が出た架設は見事に成功し、無事供用を始めた。当初地元の業者には無理だともいわれた工事。さぞや苦労話が聞けるものと期待して臨んだ


▼ところが一連の工事に関して、施工した担当者の反応はあっさりしたもの。重機が派手に活躍する架設や、細部にまでこだわった職人芸といった話はなく、終始、工事を始める前の計画段階の話。整備計画をどのように立てたか。重機は何を使うか。工法は。現場条件や工期、予算との兼ね合いなど。発注者や関連機関と幾度となく協議を重ねたエピソードが並んだ


▼「では実際の工事は?」と尋ねると、担当者からは「段取りがしっかりしていれば、後はその通りにやるだけ。苦労はなかった」との答え。肩すかしを食ったような感じだ


▼「段取り八分」。仕事を進める上で事前の準備がいかに重要かを表す言葉として使われる。建設工事の規模が大きくなればなるほど、作業の遅れや計画の変更は、即大きな損失につながる。利益が出るどころか赤字となる場合もある。それだけに万全の準備が大切。担当者が計画段階の話ばかりしたのは、完成までの道筋をつくることが、一番苦労した点だったのだろう


▼いざとなったら出たとこ勝負も悪くはない気もするが。ただ準備できることは、きっちりし、成功までの絵をイメージしたい。想定外のことは勘と経験で対応すればいいかもしれないが、これからは段取り八分に万全を期して仕事をしていきたい。(前橋・OS)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら