コラム

2015/06/03

今こそビックプロジェクト(東京・HM)

今こそビックプロジェクト


▼建設業は最近5Kと言われるらしい。きつい・汚い・危険にプラス「休日ない・給料少ない」。なかなか厳しい。一方、新3Kという言葉も聞いた。こちらは「給料がよくなり・休日が取れ・希望がある産業」。表裏一体と言うか、何しろ給料と休日が問題らしい


▼離職者から辞めた理由を聞くと「休日がない、仕事がきつい、給料が安い」など、まさに5Kを口にする。だから、その不満を解消すれば離職者が減る、と考えがちだ。しかしここで、辞めていない人から「なぜ続けられるのか」を聞くとどうか。「休日があるから」などと答える人は少ない。多くの人は仕事へのやりがい、職場への愛着、上司への信頼など、満足感を得ている点を挙げる


▼この差は何か。専門家に聞くと、ハーツバーグの2要因論と言うらしい。不満要素を解消しても、満足感は得られない。この2つは別物だそうだ。だから離職対策は、不満の解消、プラス満足感をいかに与えるかにかかってくる


▼社会インフラの維持管理、老朽化対策が大きな社会問題になっているが、建設業界にとっては安心感にもつながる話。今後はメンテナンスの予算が一定程度あるから、大きく減ることはないと思える。ただ、メンテナンス中心で若者が夢を見られるのかという疑問もある


▼若者がやりがいや誇りを感じるものの代表が、ビックプロジェクトだろう。例えば明石海峡大橋が1998年に供用開始されてから、もう20年近くが経つ。技術の伝承の問題もある。建設業界全体の活性化のため、今こそ長大橋のようなシンボル的なビックプロジェクトの立ち上げに期待したい。(東京・HM)


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