コラム

2015/06/06

便利の裏側にあるもの(山梨・HK)

便利の裏側にあるもの


▼オスのミツバチは自らの子孫を残すのみが使命とされていると聞く。巣の中の数万匹のメスに対し、オスは数百匹の超少数派。仕事はハタラキバチに任せ、餌も与えてもらう極上の居候生活。何かと話題の「ドローン」の命名は、このハチに由来しているようだ


▼英和辞典(研究社)をひも解くとドローン(drone)の意味は①ミツバチの雄②のらくらもの、いそうろう③無線操縦の無人機とのこと。ハチなどのブンブン音や持続低音の意味もあるようで、多岐に及ぶ活躍の場を考えると、「のらくらもの」のイメージには結びつかない


▼もとは偵察や空爆など軍事目的で開発された(知恵蔵2015)ものであったが、言わずもがな官庁、企業、個人を問わず、幅広い用途に爆発的な広がりを見せている。だが、先ごろの首相官邸侵入や善光寺御開帳法要の行列への落下など、使用にあたってのモラルなどが問題視され、規制の強化が叫ばれ、飛行禁止などの措置がとられようとされている


▼いつの時代も先端技術は悪用される使用方法とのいたちごっこで、法整備や規制が後手に回っている。災害に際しても備えは整えているのだが、事が起きてから不備な部分が露呈され、新たに対処するのが人類の歴史と言ってもよい。先の大震災も見てのとおり、現実は人類の想定の範囲を大きく上回った


▼開発するのも人間、利用するのも人間。必要は発明の母であるが、利便性にだけ思考を向けることなく、居候まで腰を落ち着けることはないにしろ、一旦立ち止まって、発明品の及ぼす影響にまでイメージを巡らし、一手を打ってほしいものだ。(山梨・HK)


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