コラム

2015/06/10

時代と共に変わる言葉(群馬・UT)

時代と共に変わる言葉


▼今では、かわいそうの意味で使われる『あはれ』という言葉。古文では情緒が深い、かわいいという意味だが、今の時代で『あはれ』をかわいそうという意味のみで使ったとしても、日本語が乱れていると指摘する人はいないだろう。言葉は変化するものであり、長い歴史の中で、現代の意味が生き続けたからこそ、かわいそうという意味が定着したといえる


▼一方、いま変化を迎えつつある言葉たちもある。たとえば『にやける』という言葉。『にやける』には、にやにやする、薄笑いを浮かべるといった意味は本来なく、漢字では『若気る』と書き、なよなよしている男性を表す言葉となっている。文化庁の調査では、年代に関係なく7割近くの人が薄笑いしているという意味で使用しており、にやにやする、にやつくといった音が似ている言葉からの連想が勘違いの原因だそうだ


▼こういった変化しつつある言葉は、言葉の伝統性、汎用性、合理性などの面から十分な検討がなされ、新しい意味も加入されて初めて辞書に掲載される。いわゆる「ら」抜き言葉や「お会計は○○円になります」といったバイト敬語などの若者言葉も、これから時代を経るごとに市民権を得て、辞書に載る時代がくるのかもしれない


▼言葉には言霊があり、良い言葉を発すると良い事が起こり、不吉な言葉を発すると悪い事が起きるとされている。言葉が変化することで、その言葉が持つ本来の意味までもが失われてしまえば、言霊の力もどこかへ消えてしまうように思う


▼言葉に関わる仕事の末席を担う者として、変化を受け入れつつ、その根本、本義を大切にしていきたい。(群馬・UT)


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