コラム

2015/06/20

競争にさらされるって(埼玉・AO)

競争にさらされるって


▼「今の世の中って、ものすごい競争にさらされているんでしょ」と高校1年の息子に尋ねられた。高校受験という競り合い体験からの質問かと思ったら違った。新自由主義としての市場原理主義、経済的自由主義、規制緩和など、いまの米中冷戦の世界で広がりつつある経済の動きを踏まえての質問だった


▼学校で教えない一般教養を勉強をしていると、ずいぶん感心したものの、回答に窮した。基本的に新自由主義に関する質問だったので、政治や経済の専門家なら的確に答えられようが、素人の中年おやじには簡単明瞭に答えが出せない。政治や経済分野での新たな自由主義という思想、概念だとは思えるのだが、唱える人によって考え方は様々


▼息子には、市場原理を基本に据えて、政府などの介入を最低限に抑え、市場原理を阻害する規制をとっぱらってしまうことなどと応じ、規制緩和を進めた小泉政権、政府の関与を極力抑える「小さな政府」などのヒントを与え、「自分で調べてみなさい」と逃げ切った


▼規制を緩和して、競争の足かせになるものを排除し、競争原理に任せる。本来の資本主義経済は、そういうものと認識していた。だが、よくよく考えてみれば、日本は、お上の国だけあって多くの規制がはびこった資本主義経済だったのだろう


▼建設業もご多分に漏れず、競争は激しい。時に規制緩和も見られたが、速度の遅い船に合わせて全体を統制して進む護送船団は今も生き続け、本来の自由競争には程遠い。公共工事には最低制限価格という限界もあり、担い手三法もある。規制は建設業を守りたいという、お上の意向なのだろう。(埼玉・AO)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら