コラム

2015/06/26

継続は人を助ける(山梨・HK)

継続は人を助ける


▼最近はどうにも足元がおぼつかない。寄る年波に足腰が弱ったのではなく、また連日ネオン街通いのせいでもない。日本列島を揺るがす火山噴火やら地震やらである


▼鹿児島県の口永良部島で噴火が起こったのが5月29日。翌30日には小笠原西方沖でマグニチュード8・5の地震が発生。列島各地で大きな揺れを観測し、交通機関がストップするなど人々の暮らしに大きな影響を与えた。箱根山や浅間山で噴火警戒レベルが引き上げられるなど、不気味な兆候はそこかしこに見られている。相次ぐ噴火や地震に不安が募るが、複数のプレートがせめぎ合う日本列島で暮らしていく以上、遺憾ともし難くこの不安は日常である


▼口永良部島は、常時観測火山に指定され「昭和以降10回近くの噴火記録がある」とウィキペディアは記している。お隣の屋久島、種子島と比べると知名度の面では寂しい限りだが、ありがたくもなく、今回の噴火で一気に全国区となった


▼火砕流が海岸に達するほどの爆発的な規模の噴火であったにもかかわらず、島民137人に犠牲者がでることはなく、無事島外への避難を終えた。過去の教訓から新たに高台に避難所を設置、そして繰り返し行った避難訓練。ハード面の備えと心の備え。日ごろの訓練がこの上ない強い味方となった


▼避難訓練であって避難練習ではない。続けることは同じでも、身に付けることに意味があって技術の向上ではない。東日本大震災の「釜石の奇跡」の例もある。樹齢千年を超える巨木があるわけでもなく、初めて鉄砲が伝わったわけでもない小島がなし得た事実を心に留めておきたいものだ。(山梨・HK)


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