コラム

2015/07/08

好景気に沸く富士重工(群馬・MY)

好景気に沸く富士重工


▼『スバル』で知られる富士重工業が絶好調だという。販売台数の国内シェアは3%前後にとどまる自動車メーカーだが、営業利益率はトヨタなどを抑え首位を確保。国内で生産した車両の75%以上を輸出へ回し、特に北米で人気が高まっている


▼北米の地方都市で人気があるのは、独自の4WDシステムだ。インターネット上には、雪道で立ち往生するパトカーや大型トラック、郵便車両などをけん引し助けるスバル車の動画がアップされ注目を集めている。購入希望者が押し寄せ、在庫不足に悩む現地ディーラーが商品供給を強く求める様子がニュースで放送されていた


▼富士重工の生産拠点は、群馬県太田市にある。従業員を大切に扱う姿勢で知られ、軽自動車生産からの撤退時も従業員を削減しない決断は地元を安堵させた。前身である中島飛行機の創業者・中島知久平も従業員を大切にした経営者だと伝わる。同市は市内に残る中島邸を重要文化財に指定し、小中学校の学習の場で、逸話や功績をたたえている


▼富士重工や部品製造会社などの好調は、自治体税収の大幅増につながった。さらに同社は市の野球場建設基金へ9億円を寄付するなど、地域貢献にも尽力している。世界的に活躍しながら地域に根ざした、理想的な企業と言える


▼他方、富士重工が生産増強を図り、同社や下請けが積極的に労働力を確保しようと動いたため、建設業を含む他業種と摩擦が生じている。ある経営者は「若い社員を育ててきたが、より高給な期間工へ流れてしまった」と嘆いていた。いずれも悪くないし、ゆくゆくは景気の循環につながると信じるが、難題である。(群馬・MY)


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