コラム

2015/07/10

木質バイオマス発電所に期待(山梨・TH)

木質バイオマス発電に期待


▼山梨県大月市で、県内最大規模の木質バイオマス発電所建設が始まる。地元貢献として「雇用約20人」「剪定枝や未利用の間伐材など燃料調達」が優先され、衰退した林業活性化につながると期待している


▼県内に現在ある木質バイオマス発電所は、自家用の小規模なものが多く、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して売電する施設は初めて。間伐材や剪定枝など生物資源を活用し、発電所の出力は1万4000kwで、約3万世帯分の年間の電力を賄える規模。燃料は剪定枝や未利用の間伐材、樹皮を細かく砕いた木質チップを活用する


▼しかし間伐自体が全国的に進まず問題になっている。間伐は、混みあった森林からスギやヒノキなどの針葉樹を抜き、森林の中を明るく保ち、真っ直ぐに育てるもの。むやみに行えば木の成長力を阻害し、失敗すると木の皮が剥げたりするので技術が必要で難しい


▼作業について林業業者はスギの木の場合、「間伐は5年おき程度に実施し伐採、40年~70年程度で主伐となるが、苦労して育てた木も市場で安く買いたたかれる。手をかけても報われないから、作業をする人も減り、間伐が進まない」と話す


▼林業が衰退すれば、山林自体が減少するだけではなく、山は水を蓄える力をなくし大水や山崩れを引き起こす。そうなる前に国が率先して間伐、主伐、輸送などの労働力を集約すべきだ。大月市のバイオマス発電所建設は、衰退する林業にとっては小さなことかも知れないが、人手不足や不在森林所有者が増える地元林業の関係者の期待は大きい。林業という産業を見直す良い機会なればと思う。(山梨・TH)


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