コラム

2015/07/11

地味でも大事なこと(埼玉・UT)

地味でもとても大事なこと


▼中大兄皇子と中臣鎌足と言えば、645年の大化の改新。蘇我氏を打倒した、日本における古代政治史上の一大改革だろう。大化の改新、実は地籍調査の始まりとも言われている。国家が農民に田を貸し出す班田収授法を制定し、701年から日本の土地管理が始まった


▼1582年、豊臣秀吉による太閤検地は、農民の田畑を一筆ごとにその広さを測り、土地の石高を定めた。1821年には伊能忠敬が科学的な実測に基づき日本地図完成という偉業を成し遂げた


▼そして現代。土地管理は今も連綿と続く。その一種でもある地籍調査は一筆ごとに土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量するもの。測量未実施の場合は、土地取引を行う際のリスク、課税の公平性などの課題が指摘されている。また災害復旧の遅れの要因にもなってしまう。全国の実施状況をみると、2014年度末で51%の進捗率。スピードアップが必須だ。今のペースでは、残り200年かかるとも言われている


▼いま、経済成長の鍵として、公的部門の産業化が議論されている。道路や上下水道、空港などの公共インフラについて、官民連携を着々進めていく流れが生まれつつある


▼地籍調査は市町村が事業主体だが、職員の負担を軽減して効率的に実施するためにも、包括的な民間委託が必要ではあるまいか。決して丸投げではなく、要所の確認は市町村職員がきちんと行う。地域の測量会社や土地家屋調査士にも導入を働きかけたい。さらには国や県のバックアップも必要。一見すると地味な業務だが、本当はとても大事なこと。加速して前に進めるべきだ。(埼玉・UT)


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