コラム

2015/07/25

声は届き、そして響く(山梨・HK)

声は届き、そして響く


▼今や地方自治体の政策担当部局は忙しいかとお察しする。2060年までを基本とした中長期の将来展望を提示する人口ビジョン、さらに政策目標と施策をまとめる地方版総合戦略の今年度中の策定が使命とされているからだ


▼住民のための施策になるのは当然であり、策定に向けて審議を行う組織には公募による市民を参加させたり、アンケートやパブリックコメントによる住民の声の吸い上げは欠かせないところだ


▼6月に地方創生会議の首都圏問題検討分科会から提言された、首都圏などにおける将来的な高齢化と介護・医療の人材不足。CCRCは元気なうちに地方へ移り住み、新たな居住地を形成しようとする試みであるが、受け入れる側の住民の意向は無視できない。先頃開かれたとある自治体におけるCCRC研究会の場でも、住民が置いてけぼりにならないよう十分な情報発信を行うよう求める意見が出された


▼話が変わって恐縮だが、弊紙1面の人物紹介コーナー「私の50行」に登場していただいた方の元に、記事を読まれた方から手紙が届いた。同欄に記された考えに共鳴され、送り主の近況がつづられた手紙を手にいたく感激した様子で「小さな声でも確かに誰かの元に届き、それは僅かな波ではあるけれども返ってくる」と実感した


▼住民の代表である議会の意見は無視できるわけもなく、小さな住民の意向にも耳を傾ける。行政の苦労もおもんぱかるが、そこが腕の見せ所かと。水面に投じられた小石の波紋は静かに広がり、縁にぶつかり打って返す。1人であっても声を上げ、発信し続けること。まだまだ世間の空気は澄んでいる。(山梨・HK)


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