コラム

2015/08/01

当たり前の世代へ(新潟・YY)

当たり前の世代へ


▼7月のある日、新潟県地域振興局では冷房を使用せず大きく窓を開けて涼を取っていた。午前9時前だというのに、庁舎内はかなり蒸し暑い。そこへ「全館冷房を入れました。窓を閉めて下さい」とのアナウンス。職員が席を立ち、てきぱきと窓やドアを閉め始めた


▼東日本大震災で原発に大きなダメージを受けて以降、国を挙げた省エネに取り組んで4年と4カ月。職場や家庭で無駄な電力をできるだけ使わないよう努力してきた。当たり前の行動として染み付いている部分もあれば、震災前の暮らしぶりに立ち戻ったところもある


▼アニメ「ドラえもん」に登場する「ジャイアン」の声を担当した声優のたてかべ和也さんが6月に亡くなった。2005年に交代するまで26年間「ジャイアン」を演じた。国民的アニメの声優交代は、大きなニュースとして報じられ、「ジャイアン」の声もたてかべさんが木村昴さんへバトンを渡した


▼現役世代にとって「ジャイアン」と言えばたてかべさんの声が印象深いのではないだろうか。しかし、声優が交代してから10年。今テレビで「ドラえもん」を最も楽しんで観ている世代は、当然に木村さんの声が「ジャイアン」の声であろう


▼震災前の暮らしを知っている世代の省エネとは、「がまん」と感じることがある。しかし、震災後に大きく変化した暮らしが「当たり前」と思っている世代は、どのように感じているのだろうか。これからの日本を支えるのは、震災後の世代。選挙権年齢が18歳へ引き下げられる。若い彼らを信じて、原発の今後のあり方も託してみたいと考えるのは自身だけではあるまい。(新潟・YY)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら