コラム

2015/08/06

リアルな汗が達成感を生む(山梨・MK)

リアルな汗が達成感を生む


▼富士山頂を目指す登山者らが増えている。環境省によると、一昨年6月に世界文化遺産に登録され脚光を浴びた後は特別に登山者が増加しているという。今年は天候の影響もあり伸び悩んでいるが、富士山に登りたいと望む人は多い


▼なぜ近年、多くの人が山に登ろうとするのか。雑誌「山と渓谷」の元編集長の神長幹雄氏は、時代的な背景として「IT」があると指摘する。どれだけIT化が進んだとしてもバーチャル(仮想)では気が済まない人が必ずいるはずで、その人たちの「リアルなもの」に対するあこがれが登山ブームの背景にあるのではと


▼さらに、こう分析する。リアルなものとは「汗をかくこと」。汗をかいた後の爽快感や達成感は、バーチャルな世界では味わえない。現実の達成感や社会全体が失いかけている身体感覚のようなものを、山に登ることで無意識に求めているのかもしれないと神長氏は指摘した


▼最近会ったIT関係企業の社長に、建設業についてどう思うか聞いた。すると「土木であれ建築であれ、それに関わった人たちの成果が目に見える形で残るのは良いことではないですか」と話していた。また、以前に農家の方が言っていた。自然相手の農業は大変なことも多いが、収穫の喜びは大きく、現実に物として結果が見えるので感謝の念さえ起きてくると


▼本格的な夏を迎え、特に屋外での作業は大量に汗が出る。しかし、汗をかいたというリアル(現実)の成果として、道路や建物などが残る。登山は苦しいことも多いが、登頂の喜びも大きい。建設の現場でも目に見える成果、達成感を目指して作業に取り組まれることを願う。(山梨・MK)


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