コラム

2015/08/20

気遣いで魅力ある産業に(山梨・TT)

気遣いで魅力ある産業に


▼人口減少や少子高齢化が進む中、担い手となる人材をいかに養成、確保するかが喫緊の課題だ。昨年度、国土交通省では建設業における女性技術者および技能者を5年以内に倍増させる目標を定めた。また、若手技術者の登用を促進させるため、総合評価や経営審査で優遇措置なども講じた。建設業界は今、女性と若手の登用に期待している


▼取材担当エリアに会社を構える建設業の社長は「何かあれば、すぐ怒鳴ってしまう。口が悪いから、女性が働く職場としては…」と、現場で働く女性を雇用する難しさを口にした。しかし、その後すぐに「とにかく、気にかけてあげること。作業上のことに限らず、髪型で何でもいいんだ、その人に興味をもってあげること。本気で叱って褒めることが大切だ」と、社員に対する思いやりを力説していた


▼先日、造園業の現場で働く女性を取材した。男性ばかりの職場だが、「言葉数は多くないものの、とても気に掛け、気遣ってもらえていることが嬉しい」と微笑んでいた。女性の多い前職では感じることがなかった男性の優しさに感激したとも話してくれた


▼あの日の社長の言葉「気に掛けてあげること」を思い出す。現場に女性の入職を促進させるには、女性用の更衣室やトイレを作るなど女性の働きやすい現場づくりが必要だと聞く


▼そうしたハード面の環境整備も重要だと思うが、性別や年齢に関係なく、それ以上に大切なことは、社員を気に掛ける、何気ない経営者の一言や思いやりこそ、働きやすい源であろう。それが社員のモチベーションにつながり、ひいては魅力ある産業につながるのではないか。(山梨・TT)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら