コラム

2015/08/22

難しい富士山県境問題(山梨・TH)

難しい富士山県境問題


▼夏の全国高校野球選手権大会で、山梨県と静岡県代表が試合した。結果を伝える新聞各紙では、勝ち負けよりも「富士山」という言葉が賑わっていた。両県には昔から富士山がどちらのものかを争う「富士山問題」がある。試合に勝った山梨県代表の選手のコメントに「富士山は山梨側の方がきれいに見える」があった。両県の対立をあおり、そのような質問を行い、答えさせた報道にはガッカリした。高校野球に相応しくない


▼両県に跨る富士山は「どちらのものなのか」という論争がある。2014年に「富士山帰属問題はなかったこと。両県共有地」になり、公的には事実上の決着となったが、県民の感情は収まっていない


▼ほかに「表冨士・裏富士」論争もある。静岡県側が「表」で山梨県側が「裏」であり、葛飾北斎の富嶽百景のタイトルでも山梨県側が「裏富士」と、一般的に定着しているが山梨県民にとっては面白くない


▼しかし山梨県は「海なし県」であり、海への憧れがとても強い。特にマグロ好きは有名で、2008~10年平均の1世帯当たり(2人以上の世帯)の年間購入数量ランキングは山梨県甲府市が全国2位(静岡県静岡市が1位)。一級河川「富士川」から静岡県の漁港地域までは昔から魚の輸送路で、新鮮な海産物が食べられる


▼山梨・静岡・神奈川3県の建設業協会は、2005年に「災害時等における相互応援協定に関する協定書」を締結した。東海地震や富士山噴火の可能性もあるので、隣県との関係は強固なものしたい。「富士山問題」で相互関係が崩れるとは思わないが、報道に携わる者として慎重な報道を心掛けたい。(山梨・TH)


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