コラム

2015/08/26

きれいな川の水辺(埼玉・UT)

きれいな川の水辺


▼親か先生か、もしくは友達か。誰に聞いたのかは、はっきりとは覚えていない。ただ幼少の頃、自宅近所を流れていた綾瀬川は日本で一番汚い川だと聞いた。子供心にも「絶対に落ちたくない」と思ったことを記憶している


▼調査結果の数字は、その汚れを裏付けていた。国土交通省が発表している全国一級河川の水質調査結果では、1973年から2011年までの39年間で26回もワースト1を記録。最悪時の水質は下水並だったという


▼8月、綾瀬川を身近に感じている人にとって朗報がもたらされた。江戸川河川事務所によると、14年に実施した水質調査で、綾瀬川の水質が観測開始以来、最もきれいだった。地道な水質環境改善のたまものだろう。特に流域住民、埼玉県や東京都などの自治体、国(江戸川河川事務所)の3者が一体となって20年以上継続している「綾瀬川清流ルネッサンス」の活動の成果だ


▼下水道や河川浄化施設の整備など、ハード面の取り組みが水質改善の大きな要因であることは間違いないところだろう。このほか啓発、広報活動などのソフト面も大きな効果が発揮されていると信じたい。クリーン大作戦と称した大規模な清掃活動も毎年10月に行われている


▼従来の治水、利水に「環境」を加えた改正河川法が施行され10年以上が過ぎた。最近では、水辺を「まちの価値を高めるための資源」として有効活用する「ミズベリングプロジェクト」の試みも広がりつつある。きれいな川の水辺空間を楽しむ人が増えることと、まちの魅力が高まることの関連性に注目したい。水辺には、なつかしさを伴う原風景になる魅力も備えている。(埼玉・UT)


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