コラム

2015/09/08

美徳に反する悪税(茨城・KS)

美徳に反する悪税


▼自動車税のグリーン化で本年度から、ガソリンエンジンで13年を経過した車の税金がこれまでの10%増から15%増に跳ね上った。名目は環境保護だが、新車販売による経済対策が本望なのだろう。20年前の車を生活の足としている田舎者には実に悩ましい問題だ。かといって、強く愛着の湧いたわが車を手放す気はさらさらないのだが


▼日本国の象徴である天皇陛下は、ホンダの名車「インテグラ」の1991年製を今でも愛用されている。イギリスでは、18世紀に生まれたスコットランド地方伝統の毛織物「ハリスツイード」によるジャケットが、親から子へと受け継がれるのが文化だ


▼かのスーパースター、イチロー選手は道具をこの上なく大事にすることで知られる。ついこの間も、フォアボールで出塁する際、バットを放り投げることなく丁寧にバッターボックスに置いていった姿を見た地元テレビ局の実況者が、「私はイチローのバットの置き方が大好きです」と称賛していた。また、ある小学校での出前講座では、生徒から野球上達の秘訣を問われると「バットやグローブなどの道具を大切にすること」と答えたという


▼さらに、たくさんの人が憧れる一大ブランドのナイキ社が、イチロー選手にスパイク使用のオファーをした際には、ずっと使用してきた日本製のものがフィットしていることを理由に決して乗り換えなかったというエピソードも


▼洋の東西を問わず、物をいたわり、愛着を持って長く使うことは紛れもない〝美徳〟である。長期使用は資源の観点からもエコロジーであるはず。この美徳を衰退させるような悪税はいらない。(茨城・KS)


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