コラム

2015/09/09

自然環境を守る宿題(埼玉・HK)

自然環境を守る宿題


▼IUCN (国際自然保護連合)が2014年に作成したレッドリストで、もっとも絶滅の恐れが高いとされる3つの分類に、動植物合わせて2万2413種が記載されている。また日本に生息・生育する野生生物を対象とする環境省の第4次レッドリストには3597の絶滅危惧種が掲載されている


▼奄美地方の固有種、アマミノクロウサギはいずれのリストにも名を連ねている。その名のとおり黒や暗褐色の体毛で覆われたウサギで、耳や後ろ足が短いなど原始的な形態を残している。個体数は1995年時点で、多くても6500羽前後と推定される


▼個体数減少の理由としては、開発による生息域の破壊、ハブ退治を目的として移入されたジャワマングースなどによる捕食が挙げられる。およそ100年前を生きた人々に端を発した無策な行為が、自然生態系に大きな影響をもたらした結果といえる


▼近年は、アマミノクロウサギをはじめとする固有種の生息域開発に対する反対運動や開発許可の取り消しを求める訴訟が起こされるなど、環境意識の高まりが見られる。また、アマミノクロウサギを守るべく、マングースの捕獲・駆除が推進されている。さらに、奄美大島をほぼ縦断する国道58号にはアマミノクロウサギの飛び出しに注意を促す看板が立てられ、路面上へ『クロウサギ注意』の文字がマークされている


▼現状を勘案すると、アマミノクロウサギの個体数回復に希望が無いとまでは言えず、野生との遭遇にも期待が膨らむ。自然環境を保全するという、現代に残された『宿題』を我々は今後も背負っていかなければならない。(埼玉・HK)


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