コラム

2015/09/25

自然災害を回避する勇気(埼玉・HK)

自然災害を回避する勇気


▼台風18号などが日本各地で猛威を振るった。関東地方・東北地方を中心に記録的な豪雨に見舞われ、茨城県では鬼怒川の堤防が決壊。家屋が流されるなどして、尊い命が失われた。埼玉県も大雨により越谷市で元荒川、新方川が氾濫危険水位に達するなどしたほか、同市内で120棟の床上浸水が発生した


▼これを受け安倍首相は、首相官邸で開いた関係閣僚会議で、被災者の救命救助に全力を尽くすよう指示を出した。また、菅官房長官はその時点ですでに、被災地について激甚災害に指定する見方を示している


▼台風が迫る中、埼玉県川口市内の工事現場を巡って取材を行っている最中だった。台風の影響かどうかは不明だが、大半の現場が休工していた。建設業は工期に追われる職であり、また、災害時には矢面に立って復旧に従事することもあるが、今回は休工することで従事者の安全を確保するという判断があったのかもしれない


▼台湾には台風が発生すると公的に会社などを休みにする制度があるが、社会経済の停滞や台風の通過速度などを考慮すれば、日本において一概に推奨することはできない。かといって、従業員おのおのが「台風が発生しているので休みます」とは、なかなか言い出せないものだ。結局、責任者がその判断を下すしかない


▼11年3月11日の東日本大震災から、およそ4年半が経った。それ以降の自然災害で激甚災害(本激)に指定されたのは15件。今や災害大国と言われる日本で、家族・友人・仕事仲間、そして自身を守るため、自然災害を回避する『勇気』が、これまで以上に求められているのかもしれない。(埼玉・HK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら