コラム

2015/09/26

普通とほどほどの良さ(群馬・AN)

普通とほどほどの良さ


▼5歳になった娘の質問への回答に悪戦苦闘している。日常会話の他愛ない言葉に、唐突に質問をぶつけてくる。説明に苦慮したのが「普通って何?」と「ほどほどって何?」といった2つの質問。両方とも何気ない言葉として普段使用しているため、あらためて考えさせられた


▼東芝の不正会計処理が発覚した。報道によれば、歴代3社長の下、利益の水増しが行われていたという。何が東芝という巨大企業を不正に走らせたのか―。それは『チャレンジ』なる極めて高い達成目標にあり、いわゆるノルマが組織ぐるみで不正へ手を染めていく要因となった


▼東芝のみならず、恐らくどの企業にも数値目標は掲げられているはずだ。しかし、その目標があまりにも高く、社員が上司などから目標達成に対する厳しいプレッシャーのあまり、体調不良による欠勤や退職を余儀なくされるケースも多いと聞く


▼企業のほとんどは営利を追求するために組織されている。売り上げを伸ばし、利益の幅をより一層大きくすることは、企業経営にとって当然の行為である。ただ、それも東芝の『チャレンジ』のように度が過ぎてしまうと、さまざまな面で弊害が出てしまうのも確か


▼『チャレンジ』とは、そもそも挑戦することを意味するが、不正会計処理問題の要因となった『チャレンジ』を最初に聞いたとき、その例えのうまさに感心してしまった。しかし、自分に課せられたとしたら、到底感心などしていられないだろう。『普通の生活を送る』『お酒もほどほどに』など、娘への説明に苦労した『普通』や『ほどほど』の良さを本当に考えさせられてしまった。(群馬・AN)


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