コラム

2015/10/28

皆で共有できる達成感(群馬・AN)

皆で共有できる達成感


▼秋晴れの中、大阪府にある中学校で行われた運動会で痛ましい事故が起きた。組み体操の「ピラミッド」が崩れ、多数の生徒が骨折や打撲などの被害が発生した。小中学校の運動会で実施される組み体操をめぐっては、全国的に大きな事故が多発しており、組み体操自体の是非が問われている


▼組み体操の高さは年々巨大化しており、見物する側からすれば、大きくなればなるほど驚きとともに歓声が沸き、見事完成した際には、拍手喝采で生徒の努力をたたえる。事故が発生した大阪府の中学校では、なんと10段のピラミッドに挑戦していたという


▼5歳になった娘の幼稚園でも、10月に入って運動会が催され、年長クラスが組み体操に挑戦していた。その高さは4段程度であったものの、5歳児や6歳児からすれば、相当の高さに思える。現に崩れそうになったときは、保護者から心配そうな声を耳にした。その一方で「頑張れ」などの励ましの声も聞こえた


▼スポーツ庁が、2014年度における体力・運動能力調査の結果を発表した。報道によると、顕著に伸びたのが反復横跳びや上体起こし。他方、ボール投げや立ち幅跳びといった、体の使い方が問われる運動能力については低迷が続いており、読売新聞の見出しには「子供の運動能力『二極化』」との見出しが踊っていた


▼心と体の教育には、やはり運動が一番と言える。組み体操も過剰な大きさに挑戦することに意味を成すのではなく、皆で達成することに喜びがある。事故が多発する今、学校も保護者も追い求めるのは高さではなく、皆で共有できる達成感にあることを忘れてはならない。(群馬・AN)


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