コラム

2015/11/07

未舗装道路は観光資源(東京・HM)

未舗装道路は観光資源


▼友人の1人とマウンテンバイクで山道を走る遊びにはまっている。登り坂はきついが、未舗装の山道を自転車で駆けおりるスリルと爽快感がたまらない。先日は、ある山の登山道へのアクセス道になっている林道へ行った。ネット上ではかなり有名な林道で、そのため多くのオフロードバイクとすれ違う。残念ながらマウンテンバイクは少ない


▼この林道、最近は舗装整備が進みつつある。まちなか側から舗装が年々伸びている。我々にとって楽しいのは未舗装の路面。これはゆゆしき事態だ


▼しかし実際に走ってみると、舗装整備の必要性もよく分かる。我々のように遊びに来ている人以外の自動車も多い。車で登山に来ている人たちだ。登山道の入口まで未舗装の道を延々1時間近くも走るのは苦痛だろう。しかも大雨が降ったあとは、ところどころ小さく崩れていたりする。走りにくいというレベルの問題ではなく、危険なのだ


▼ただ、この林道を目的に他県から多くのライダーがやってきているのも事実。彼らはただ林道を走って帰るのではない。その周辺で買い物をしたり、食事をして帰っていく。そういう意味では山間の貴重な観光資源とも言える。舗装が進めば彼らは別の山に去ってしまう


▼危険性がある以上、舗装を進めるのをやめてほしいとも言いにくいが、貴重な未舗装の林道を残してもらいたいという気持ちも強い。安全性、利便性の向上がこれまでの公共事業の大きな目的だったように思う。しかし、地方が疲弊し、それを立て直そうという時代の中、違った価値観も必要ではないか。危なければ舗装する、がすべてではない。(東京・HM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら