コラム

2015/11/20

「まさか」の洪水に備え(新潟・YY)

「まさか」の洪水に備え


▼9月の関東・東北豪雨では、洪水に耐える家屋の屋根で救助を待つ住民の姿が報じられた。いわゆる垂直避難だ。濁流が家を押し流し、間一髪で救助される住民の姿も衝撃を持って伝えられた。一部で行政の対応ミスも指摘されているが、「まさか川が決壊するとは」と語る住民も多い


▼この災害を受け、国土交通省は全国の市町村長や堤防沿いに家がある住民に対する「避難を促す緊急行動」をまとめた。被災した場合に大きな被害が想定される国管理河川を対象に市町村長が避難の時期・区域を適切に判断できるよう支援を行うものだ


▼先日、新潟県阿賀野川流域と信濃川下流域の市町村長を対象としたトップセミナーが開かれた。この地域には、甚大な被害をもたらした「平成16年7月新潟・福島豪雨」や至上最大の累計雨量を各地で記録した「平成23年7月新潟・福島豪雨」を経験した自治体が参加しており、実体験に基づいた首長らの意見は非常に参考となった


▼なかでも個々の立地条件で変わる『垂直避難』か『水平避難』のタイミングと判断の難しさ。平坦な土地が多い自治体では、河川の氾濫よりも早く内水被害が起き、必然的に垂直避難を余技なくされるという意見も。また、過去に洪水を経験したことがある地域とない地域では、同じ自治体内でも災害に対する意識に差があるという


▼国が雨の降り方が変わり、新たなステージに入ったと指摘する通り、今まで経験したことのない「まさか」の豪雨災害がどこでも起こりうる。災害時に適切な判断ができるよう、情報収集と訓練に努めることが自身の命を守る最も有効な手段といえる。(新潟・YY)

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