コラム

2015/12/02

道路工事にあたたかい目を(群馬・OS)

道路工事にあたたかい目を


▼道路工事の現場で警備員に文句を言っている男を見かけた。割と交通量がある幹線道路での舗装工事。片側2車線のうち、1車線を通行止めにしたため渋滞が起きていた。高級外車に乗ったその男は50代くらいのサラリーマン風。よほど急いでいるのか、頭を左右に振りながら頻繁に前の様子をうかがう素振りを見せた


▼車が動く気配はない。男は警備員をにらみつけ車の窓から顔を出すと、「何でこんなとこで(工事)やってんだよ」と声を荒げた。警備員はペコペコ頭を下げ必死に謝りつつも、早くこの車が行ってほしいのか、男と目を合わせたくないのか、渋滞の先方を見つめていた。十数分ほどで車は動きだしたが、警備員にとっては永遠の長さに感じたことだろう。文句を言った車が走り去るとき、警備員はその男に向かい深々と頭を下げた


▼水も安全もそうだが、道路もタダではない。料金を払う、うんぬんという意味ではなく、当たり前にあると思われるものも、誰かの手が入りはじめて保たれる。道路にしても、いつもきれいに整備され、橋やトンネルも安全に通ることができるのは、それに携わる人たちのおかげだ


▼道路事情については、今の世の中すでに一定の満足度があるとはいえるものの、首都圏と地方では、まだ開きがあるのも事実。街の発展に道路を必要とする地域はある


▼公共事業が安定的に行われなくなれば土木業者は弱り、いなくなる。生活への影響も出るだろう。せっかくの高級車も穴だらけの道では台無しだ。道路工事に出くわしたら冷たい目を向けず、「暑い中、寒い中、いつもありがとう」。そんな温かい目で見て欲しい。(群馬・OS)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら