コラム

2015/12/17

建設業の使命とは(茨城・HS)

建設業の使命とは


▼11月5日を「世界津波の日」とする決議案が国連総会で採択された。日本政府が提案し、最終的には142カ国が共同提案国となった。法的な拘束力や行動義務はないが、これを機に、津波に対する防災意識が世界的に高まることを願うばかりだ


▼日付の由来は、嘉永7年11月5日(1854年12月24日)に起きた安政南海地震。マグニチュード8・4と推定され、津波は高い所で16mにも達したという。和歌山県の実業家・濱口梧陵は、稲わらに火をつけて村人を高台へ誘導し、大勢の命を救った。この逸話は「稲むらの火」の名で、国語の教科書にも掲載された


▼海洋国家は常に津波の恐怖に脅かされている。21世紀に入り、スマトラ島沖地震、ハイチ地震や東北地方太平洋沖地震と、多くの人命を奪う地震と津波が世界各地で発生した。近い将来発生すると予測される東海・南海地震など、今後も「必ず起きる」と想定し、日ごろから備えることが大切だ


▼自然災害に対しては全て同じことが言える。関東・東北豪雨を受け、国は大規模な水害に対し氾濫することを前提に取り組んでいくとする対策案をまとめた。構造物による対策では限界があるため、これからは少しでも避難する時間を稼ぐ対策も講じていくことになる


▼堤防補修や避難道路整備など、建設業の果たすべき役割は多い。同時に、「災害に備えてここはこうするべきだ」と行政に声を上げる役割も重要になる。それが公共事業であり社会貢献につながる。「無駄な工事」と呼ばれる冷たい視線を「命を守る工事」と呼ばれるようにすることこそが、まさに建設業の使命と言えるだろう。(茨城・HS)


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