コラム

2015/12/22

大切な人との出会いに感謝(茨城・HN)

大切な人との出会いに感謝


▼今から15年ほど前、茨城県で土木部長を務めていた鈴木則夫氏が先般、叙勲の栄誉に輝いた。受章の喜びを述べる中で、鈴木氏は「推薦の際、当初は断ろうと思った。だが諸先輩、そして後輩の存在があったからこそ受章できたと思うようになった。だから皆さまの気持ちに応えるべきと思い、受章することにした」と、その経緯を語った


▼私事で恐縮だが、15年ほど務めた記者から営業へ配置転換することになった。内示を受けた際には「これまで積み上げてきた取材ノウハウ、人脈は何だったのか」と自問自答する日々が続いた。「無駄ではない」「次に生かせる」と言い聞かせてはみたものの、それでも気持を整理できずに葛藤していた


▼そんなある日、取材先で「はて、どこかで会ったことのある人だな」とある方に出くわした。名刺交換すると、以前お会いした、その人の名前だった。18年ほど前、別の会社に自身が勤めていたころの、取引先の担当者だった。知り合っていたこともあって、その取材はスムーズに事が運んだ。ただただ懐かしいと感じた瞬間だった


▼と同時に、あのころ、慣れない営業の日々に嫌気がさしていた仕事が無駄ではなかったと、報われた気がした。人生の大先輩である鈴木氏は「皆様のおかげで自分自身が成り立っている」とも話していた。取材する際、何気なく聞いていたその言葉を、ようやく素直に受け止められた


▼必要ないと思うこと、嫌だと思うこと、人との出会いは、決して無駄なことではない。血となり肉となり、己を形成してくれている。これまでの出会いに感謝しつつ、新たな道を歩み出したいと思う。(茨城・HN)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら