コラム

2015/12/23

新しい道路と交通安全(群馬・MY)

新しい道路と交通安全


▼2014年8月31日に開通した国道354号東毛広域幹線道路。群馬県の高崎駅東口から邑楽郡板倉町を結ぶ延長58・6㎞の新しいバイパスは、すでに人の交通や経済に大きく貢献している。県東部地域は、これまでどちらかというと前橋市や高崎市といった県の中心部と物心両面で距離があったが、この大動脈により距離感が薄れ、県民の一体性を強めていくと密かに期待している


▼しかし、新しい道路に人の気持ちが追いつくには時間がかかる。先日、この4車線道路の信号機も横断歩道もないところを渡ろうとしている人を見た。自動車が途切れる瞬間を待ちかまえている様子だが、4車線の流れが止まることは滅多にない。整備前ならば簡単に渡れただろうが、現在は危険な行為だ


▼別の日に、この道路で耕運機が渋滞を引き起こしていた。これまで農地だったところに道路が新設されたのだから無理も言えないが、安全のためには脇道を利用してほしい。こうした道路事情の変化とその対応は、どうしたら地域に伝えられるようになるのだろうか


▼さらに高齢者ドライバーも懸念材料。新しい道路と交通量の多さに戸惑いがちとなり、右左折の判断も遅れ気味。クルマ生活の本県では、免許を返納すると買い物難民となる高齢者も多く、自治体を悩ませている。コミュニティバスの導入など施策も思うように浸透していない


▼道路整備が進んだ効果として県内へ進出をねらう企業も多い。各地で工場や輸送拠点などの建設が計画されている。道路がもたらした活力を大切にしながら、交通の変化を住民に理解してもらい、安全な道路を確保してほしい。(群馬・MY)


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