コラム

2016/01/08

スカジャンの継承を(埼玉・HK)

スカジャンの継承を


▼いくつかの文化が混在する『文化の交わり』に魅力を感じる人は多いのではないだろうか。沖縄は琉球王国時代から海外交易で独特の文化を培ってきた。中国大陸・台湾、鹿児島県と様々な文化の影響を受けながら、発展してきた。米軍基地問題で揺れる昨今だが、第二次世界大戦を経て日本社会・文化に寄り添うとともに、米国の文化をも取り入れた


▼沖縄県のほかにも、鎖国時代に国際貿易の中心地だった長崎、中華街のある横浜なども異国の文化や風習が強く残り、それぞれ日本を代表する観光地にもなっている


▼神奈川県横須賀市にある、どぶ板通り商店街も同様の魅力がある。どぶ板通りはおよそ300m。もともと飲み屋と数件の銭湯があり、工場勤めの職工が心と身体を癒す場となっていた。戦後の米軍駐留を経た今は、ハンバーガーやホットドッグなどの飲食店、ビリヤードなど娯楽施設を併設したバー、米軍放出品・衣料品の店舗などが軒を連ね、米国文化の影響を強く感じさせる


▼文化の交わりが生み出したのは観光資源としての価値だけではない。スカジャンもまた、どぶ板通りに立ち寄った米駐留兵のジャンパーに、職人が鷹、虎、龍など和柄の刺しゅうを施したものが始まりと言われ、個性的なファッションアイテムとして広い世代に愛され続けている。まさに、文化の交わりを発祥とする特産物と言える


▼しかし、時代の流れとともにスカジャン職人は減少し『メイドインヨコスカ』を販売するショップも数件を残すのみに。背中の大きな刺しゅうとともに、歴史的背景を強く刻み込んでいるスカジャンの継承を強く願っている。(埼玉・HK)


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