コラム

2016/01/22

異なるモノの見方(長野・JI)

異なるモノの見方


▼よそ見をして歩いていたら、突然に顔面に軽い衝撃が走り、同時に眼鏡が飛んだ。急いで拾い上げると、フレームがぽっきりと折れ、片方のレンズも落ちている。10年以上愛用してきた眼鏡。別れの時を確信するには十分なほどに無残な姿だった。振り返ると、ちょうど顔の高さに鉄製の看板がある。どうやら、この看板と戦って負けたようだ


▼その日は良くないことが2つほど起き、最後の最後に眼鏡が壊れた。帰宅して「今日は最悪の日だ」と妻に漏らすと「良かったね」という返事。「本当だったら顔や目にケガをしていたかもしれない。それを眼鏡が守ってくれた」と言う。なるほど、そういう考え方もあるのだと感心した


▼測量や設計などコンサルタント業界で働く若手技術者と長野県との意見交換会を取材した。若手技術者からは、賃金や残業・休日出勤の多さについて不満が続出。年度末の工期集中もテーマとなったが、やはり課題は人手不足だった。若者が入職しない、入ってもすぐに辞めてしまう。このため仕事が若手に集中しているという


▼しかし「若手がいないということは、自分たちが長く活躍できる」とポジティブに捉える意見も出された。なるほど、そういう考え方もある。一方で「それは、負担が増えるということになる」という冷静な意見も。人によってモノの見方が異なることを改めて認識した


▼愛用の眼鏡が壊れたことを「良かったね」とポジティブに捉えた妻。彼女との結婚生活は眼鏡より長い。最悪の日だと落ち込んでいたが、彼女の言葉で一気に救われた。思わず「君と結婚して良かった」と言葉が出た。(長野・JI)


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