コラム

2016/02/10

「元年」続きを脱したい(東京・HM)

「元年」続きを脱したい


▼2016年は「生産性革命元年」と石井啓一国土交通大臣は力強く宣言した。革命という強い言葉に気合いを感じる。それにしてもここ数年「元年」が続く


▼中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故直後、当時の太田昭宏大臣は13年を「社会資本メンテナンス元年」と位置付けた。翌14年は元年と言わず「実感と未来」の年。復興の実感やグランドデザイン策定により未来が見えてくる年との説明だった。15年は担い手3法の「本格運用元年」と元年が復活。4年間で3つの元年を迎えたことになる


▼こうして振り返ると、その時その時の旬の話題や課題がよく分かる。重点的に取り組むべき課題が「元年」という言葉になり、一定の方向性がつくと次の課題が浮かび上がる。課題続きの建設業界であるが故の、元年続きだ


▼総務省の労働力調査によると、15年の建設業の就労者は14年に比べて5万人減少した。産業別年齢内訳を見ると、29歳以下の人数は変わっていないが、55歳以上が4万人減少。このため、人口比率を見ると、55歳以上の比率は落ち、29歳以下はほぼ横ばい。グラフにすると何となく高齢化に歯止めがかかり、望ましい人口ピラミッド化が進んでいるように見えなくもない


▼ただ、55歳以上の大幅な減少を目の当たりにすると、予想されていた団塊の世代の大量離職時代がいよいよ始まったのかという危機感が募る。将来の担い手確保・育成は建設業界一番の課題だ。今取り組んでいる施策も全てそこにつながるもの。まだまだ課題は多く、大きいが、少しでも早く「〇〇元年」と言われない年明けを迎えたいものだ。(東京・HM)


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