コラム

2016/02/16

競争にも図太さが大事(茨城・HS)

競争にも図太さが大事


▼昨年9月、インドネシアの高速鉄道計画の受注合戦で、日本の新幹線方式が土壇場で中国に競り負けたのは記憶に新しい。その後の経緯を注目していたら、やはり前途多難であることが伝わってきた。想定の範囲内といえば範囲内。「あぁ、やっぱりか」としみじみ納得してしまう


▼この計画は、首都ジャカルタなどと周辺各都市を結ぶ延長約140㎞の高速鉄道整備。事業費は日本円で約6420億円。2019年前半の開業を目指している。国家的プロジェクトで、グローバルに新幹線方式を売り込みたい日本にとっては、なんとしても受注したい案件だった


▼ふたを開けてみると、後発の中国が事業費を丸抱えするというとんでもない提案で落札。1月末には着工式典を挙行した。「さぁこれから」というところだが、実態はまだ建設許可も出ていないうちの絵に描いたような見切り発車。未提出の必要書類も多く、中国語で記載されたものまであるという。今後も用地取得の難航などが予想され、先行きは不透明


▼ある意味、日本も国際舞台ではこの神経の図太さを見習ってほしくもある。もちろん、相手をだましてでも得をしろというわけではないが。ただし、信頼を再優先する日本人の精神性には不向きだ。ただ、世界で渡り合うにはそれなりのしたたかさを備え持つことが必要なのも確か


▼これからも、海外の大型プロジェクトの受注機会は増えるだろう。最近も、日立が1兆円を超えるイギリスの原子力発電所建設を受注。なりふり構っていられなくなってからでは遅い。大胆さも必要だ。敗北の先には自然淘汰が待ち受けているのだから。(茨城・HS)


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