コラム

2016/03/02

5年の節目に考える(茨城・KM)

5年の節目に考える


▼先日、息子からインタビューを受けた。「○歳のようす」というテーマで、小学生の息子が○歳の時どんな様子だったか、大きな事件として何があったのかを家族に聞くという宿題だ。写真の提出も同時に求められたため、アルバムをめくりながら、小学校入学までを振り返った


▼1枚の写真を見た息子が「うわぁ、部屋がぐちゃぐちゃだ!」と声を上げた。その写真は東日本大震災発生直後の室内を撮影したもので、見事に棚の戸が全て開き、割れた食器などが床に散乱している。8歳になり「本が降ってきて、抱えられて家を飛び出したのは覚えてる」と語る息子も、当時は携帯電話から頻繁に聞こえる緊急地震速報音を面白半分にまねして、叱られていた


▼1月28日、茨城県警察と茨城県建設業協会が合同レスキュー訓練を行った。車から人を救出するため、協会員が車両を覆う土砂の除去に協力。本番を想定した迫真の訓練に、忘れかけていた防災意識を思い出した


▼数日後、水戸芸術館の企画展『3・11以後の建築』へ行った。東日本大震災後における社会の変化に、自分なりの方法で向き合う21組の建築家の取り組みが紹介されていた。震災直後から建築の枠に縛られない多岐にわたる防災への考え方に圧倒されていることに驚いた


▼「2011年3月11日に何をしていましたか」。この問いに、多くの人は描写豊かに当日を振り返る。誰も忘れてはいない。しかし日常生活が戻るにつれ、記憶とともに当時抱いていた意識は薄れつつある。もうすぐ5年。いま一度あの日を振り返り、防災について考えるべきタイミングではないだろうか。(茨城・KM)


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