コラム

2016/03/10

忘れ得ぬ酒席の思い出(東京・KK)

忘れ得ぬ酒席の思い出


▼春は出会いと別れの季節だ。歓送迎会の始まりがビールで乾杯だった時代は昔の話で、最近はノンアルコール飲料も含めて各自が好きな飲み物を手に乾杯する光景が当たり前になった。昔を知る者としては少し寂しい気はするが、これも時代の流れと受け止めている


▼日本の大手ビールメーカー4社が発表した2016年の販売目標は税制改正を見据えて主力商品をビールに戻す流れが明確になった。ビールよりも価格が安い発泡酒や第3のビールで酒税を引き上げ、ビールは税率を下げるとなれば当然の経営判断であろう。新商品の発売とともに、今後の価格設定が注目される


▼最近、「一酔千日」(いっすいせんにち)という四字熟語を教わった。非常においしいお酒の例えで、一杯飲んだだけで心地よくなり、千日も眠り続けるという意味である。酒好きにとっては究極の憧れであるが、残念ながら、そのような酒にはいまだ出会っていない。いつの日か巡り合うことができるのだろうか


▼「一緒に酒を飲みたいと思っている人がいるなら、早めに飲んでおいたほうがいいよ。絶対に後悔するから」。ある人から聞いた言葉が頭から離れない。昨年来、二度と酒を酌み交わすことができない人が何人もいる。「あの時に誘っていれば」と思っても今となっては後の祭りである


▼長い間お世話になった上司が今月で定年退職する。ビールで乾杯から始まった酒席で叱咤激励されたことは数知れず。酩酊し記憶も曖昧なはずなのだが、不思議なことに数々の深い言葉は今も心に残っている。去り行く上司の教えを部下に伝承することで、恩返しにつなげたいと心に誓っている。(東京・KK)


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