コラム

2016/03/15

必要事業を安定的に(前橋・OS)

必要事業を安定的に


▼和歌山県にちょっと変わった信号機がある。点字ブロックのように地面に埋め込まれた信号機で、矢印とバツ印が点灯し、歩行者信号と同じ役割をする。その名も「喜の国信号」。高齢者など目線が低い人でも信号が確認しやすい。傘で視界が遮られる雨の日には、全ての人に役立つものだ


▼高齢化が進む今の時代に合った公共施設と感じた。事業効果も分かりやすい。全国的に設置が進んでほしいが、今のところ全く広がりを見せない。ネックは設置費だろう。ただでさえ信号機を1基付けるのに数百万円はかかる。それが数の少ない特別な信号となれば、さらに高額。あれば便利だが、なくても生活できる信号機に金をかける余裕などないのだろう


▼一方、建設産業の担い手確保に給与の引き上げは必須だ。仕事に見合った報酬を求めるのは当然。だが、今は先行きへの不安からか労務単価が上がっても思うように給与に反映されない。どこかの政党が政権を握ったあの日がまた来るのではないか。そう思えば貯め込みたくもなる。もしもの時への備え癖が建設産業に、あるのか


▼公共施設の集約、統廃合。街は人口減少とともにコンパクト化へと向かう。連動して公共事業量も減っていくのだろうか。大雨などによる災害は増える一方だ。大災害が起きれば自衛隊の活躍ばかりが取り上げられるが、災害の予防も復旧も、毎回やっているのは建設産業だ。出番が増えることはあっても減りはしないだろう


▼皆に喜ばれる信号機の設置だけではない。必要とされる事業を数多く安定的に続ける知恵と姿勢。今の快適な生活を守るには、それが必要不可欠だ。(前橋・OS)


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