コラム

2016/03/16

技術が世界を変えている(東京・HM)

技術が世界を変えている


▼20代の若い記者から、おすすめの幕末ものの小説は何かと尋ねられた。あまり読んだことがないと言うので、司馬遼太郎から入るのがいいと思うと伝えた。後日会ったときに『燃えよ剣』を読んですごく面白かったと言っていた。「しばらくは司馬遼太郎にはまりそう、古本屋で安く買えるし」と楽しそうだ


▼確かにあの感動が100円で手に入ると思うと、驚くほど安い。読んでいる時間、本から得られる知識、本から与えられる感動。それが100円。作家の先生方には申し訳ないが古本屋はよく利用させてもらっている


▼言わずもがなだが、印刷技術がなかった昔は本が高かった。とても貴重品だった。基本的にすべて写本。人の手で書き写していくのだから高いに決まっている。それを一変させたのが印刷だ。大量生産が可能になり、単価は下がり、多くの人が買うことができるようになった。とても分かりやすい技術革新と生産性向上の事例だ


▼そしてちまたにあふれ出た本は、古本屋にたどり着く。昔の人は、本が1冊100円という安価な商品になることなど想像もできなかっただろう。新しい技術は、それまでの価値観をがらりと変える事がある


▼建設産業界でも、設計段階で3Dモデルが導入されるなど、新技術が現場の在り方を変えつつある。機械化施工も実用されている。それでも、これまでの現場を一変するというイメージではなく、効率化・省力化が進んだというところだろう。生産性向上は始まったばかりなのだ。100年後には今のわれわれでは想像もできないような建設現場になっているかもしれない。(東京・HM)


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