コラム

2016/03/19

看板と自治体の予算(茨城・TI)

看板と自治体の予算


▼電車に乗り外の景色を眺めていた時のこと。田園風景、自動車、林などが通り過ぎていく中で、自動車整備や製品の宣伝など、いくつもの看板が目に留まった


▼学生時代、荷卸しのアルバイトとして働いていた塗装関係の製造工場は、都内の電車から見える位置に看板を設置していた。何度も目にしたその看板は、後で工場長から年間数千万円の広告費を支払っていると聞かされ、当時は金額の大きさにひどく驚いたものだ


▼建設専門紙記者になってさらに驚かされた。公共事業の予算額では、大型工事になれば、設計費や工事費に数千万~数億、概算事業費は数十億円を計上することもある。市の当初予算は数百億に上り、2015年度の国の一般会計予算では約96・3兆円だった。途方もない数字に、ただ圧倒されるばかり


▼実際に予算書を見てみると、その内容は多岐に渡っていた。さまざまな事業に予算が振り分けられ、新年度に向けて準備を進めているのが分かる。中には細かいものもあったが、どれか1つ欠けても事業は止まってしまう。看板や工事1つとっても、設計委託費や工事費、維持管理費など、そこには多くの予算と人が関係している。発注者と受注者がいれば、支払いや給与という形でお金が動く。金額の大小も重要だが、それだけではない


▼各自治体や組合で、新年度の当初予算案が発表されている。項目を見ていけば、それぞれの事業計画が何となく想像できる。大型事業のほかに、看板の設置費や委託費も計上されているはずだ。予算の金額だけを見るのではなく、それによって何をするのかが大切なのだ。(茨城・TI)


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