コラム

2016/03/30

日本出身力士優勝で一言(山梨・HK)

日本出身力士優勝で一言


▼今年の初場所における琴奨菊の優勝で相撲界に再び活気が出てきたようだ。春場所を前に、本人は稽古どころではないほど多忙を極めていたようだ。賜杯から遠ざかる10年間、日本出身力士への奮起の意味も込め何かとマスコミの話題にも。長かった道のりの要因は一言で片付けられないが、言葉も文化も違う東の果ての島国で、立身出世を夢見るハングリー精神は大きな壁かと推測する


▼相撲の決まり手は八十二手といわれる。なかには足取りなどと姑息とも思える技もあるが、ここに相手の失言や失敗に付け込んで非難する“揚げ足を取る”の言葉は由来している


▼報道においても似たような事柄が垣間見られる。コメントの一部のみを取りあげ、さも問題発言のように取り扱う。本人の言い訳は脇に置いても、発言を通して考えてみると、報道の趣旨はいささか大袈裟ではないかと思われることもしばしば。政治家が相手となるとその勢いが倍増するかのようだ


▼決して敵視するわけではないのだが、槍玉となる相手の存在は、群衆心理も味方に付け見事に人の心根を活気づかせる。これが一対一のライバルの存在であればお互いの成長を促す妙薬となる。プロ野球界でも大相撲の世界でも、一つの時代を築いた両雄は称えられ、その世代の人々の記憶に映り込んでいる


▼初場所の琴奨菊の優勝に至るまで、対外国人出身力士との優勝争いのような空気も流れていた。国が前面に押し出されると争い、紛争、はたまた戦争ときな臭いことにばかり想像が及ぶ。直径15尺の土俵の上の闘いは、出身地に惑わされることなく肩入れしたいものだ。(山梨・HK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら