コラム

2016/04/02

父親として再起を期待(埼玉・HK)

父親として再起を期待


▼野球界のスーパースターから覚せい剤取締法違反の被告人へ。清原和博氏の置かれている状況は、転落という形容がふさわしい。現役時代に獲得した富と名声が大きかったため、失う苦しみはなおさら大きいだろう。引退後に違法薬物への依存を深めていったとされている


▼現役時代は怪我に悩まされることもあったが、記憶・記録に残る名選手として活躍した。甲子園で輝かしい成績を打ち立てた後、希望球団入りが叶わず目に涙を浮かべた純朴な姿は今も語り継がれている。西武ライオンズから念願の読売ジャイアンツにFAで移籍すると一転、風貌や言動から『番長』と呼ばれるようになった


▼引退後は野球解説者やタレントとして活動していたが、2014年3月に週刊誌で薬物疑惑報道がなされると途端にマスコミから姿を消した。14年間連れ添った妻と離婚。2人の子どもとも離れ離れとなり、月数回しか会えない寂しさをブログに記すこともあった


▼唯一、理解できる部分があるとすれば、子どもへの愛情だ。父としてだけでなく、野球指導も熱心だった。子にとって親が最大のよりどころであると同時に、親にとってもまた、子は自身の背中を追い、いずれは超えていく存在。それを失うことは、まさに絶望的な悲しみだったのだろう


▼今後について大方の予想は執行猶予判決とされ、更生の機会は得られるだろう。しかし表舞台への復帰、盟友と呼ばれた桑田真澄氏が望む『人生の逆転満塁ホームラン』は約束されていない。野球人としてだけでなく、一人の人間、そして父親として、模範的な生き方で人生を全うしてほしい。(埼玉・HK)


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