コラム

2016/04/15

訓示が物語る働き方(東京・KK)

訓示が物語る働き方


▼「それぞれの職務で抱える課題へ果敢に挑戦してほしい」。本年度の国土交通省入省式で石井啓一大臣は新規採用職員に大きな期待を寄せた。張り詰めた緊張感の中、将来への希望と新しい環境で働くことへの不安が入り混じった表情で大臣の訓示を聞いた若者たちは、社会人になる意味を再認識したに違いない


▼大手建設・不動産会社が4月1日に開催した入社式における社長の訓示では新人に「チャレンジ」を求める言葉が目立った。背景には少子高齢化や世界情勢の劇的な変化などで将来の見通しが立てにくくなったことがある。新たな時代を切り開くためには失敗を恐れず、勇気を持って挑戦する気持ちが必要ということだろう


▼意外な共通点も見つけた。「健全な心身を保つこと」「健康管理に気を付け心身のバランスを保つよう心掛けて」と、心と体の健康の重要性を各社が指摘している。社会人にとって体が資本であることは言うまでもないが、心も健全でなければ十分な仕事はできない


▼厚生労働省の調査によると、2012年3月の新規学卒者の卒業後3年以内の離職率は大学で32・3%、高校で40・0%。高校卒の建設業に限れば50・0%と高い。いずれも前年比で増加しており、採用した人材を定着させることが難しい時代になったことを裏付けている


▼企業戦士やモーレツ社員がもてはやされた時代の反動からか、最近は個人を豊かにする時間の大切さを強調する企業が増えてきた。挑戦はしてほしい、ただ健全な心身も保ってほしい。社長の訓示は時代とともに働き方が変わったことを物語っている。(東京・KK)


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