コラム

2016/04/21

建設事業と社会問題(群馬・TF)

建設事業と社会問題


▼記者の仕事に就いて早いもので4カ月が経つ。まだ記者と呼べるほどのことはできていない。毎日、役所の担当者を追ってはすれ違い、見つけても「これから会議で」と足早に逃げられる。特に年度末の忙しい時期に、新人記者のたどたどしい質問に快く応対できるほど暇ではなかったようだ


▼そんな中、とある町の担当者に話を聞くことができた。本年度の給食センター建設工事計画だ。以前、他市で同様の取材をした時は明るく話してもらったが、今回は違った。忙しい時期だから当然かと思ったが、少し違和感を覚えた


▼順調に話を聞いて、最後に町内の学校数を聞いた時だった。担当者は寂しそうに「小中学校が1校ずつです」と答えた。東京から引っ越して来たばかりの私は、少子化の影響がこんな身近に出ていることに、返す言葉を失った。記事では書かないことを聞くことはあるが、こんなに衝撃を受けたのは初めてだった


▼2014年度の群馬県による調査では、7町村で小学校が1校、15町村で中学校が1校となっている。最新の国勢調査でも5年前より世帯数は1万7430世帯(2・3%)増加したものの人口は3万4592人(1・7%)減少した


▼本年度も学校施設や観光施設、住宅などの建設工事が行われる。公共事業減少の影響を受けている建設業界にとっては喜ばしいことなのかもしれない。一方では、少子化による小中学校の統廃合や人口減少による税収の減少、地域活性化などさまざまな問題を抱えている。報道に携わる者として取材の中で直面する社会問題に対し何ができるのか考えていきたいと思う。(群馬・TF)


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