コラム

2016/04/29

新しい知識で災害に備え(埼玉・SW)

新しい知識で災害に備え


▼今後の豪雨対策の方向性を主なテーマとした研修会を取材した。早稲田大学理工学術院の関根正人教授など専門講師が、近年の気象災害や気象情報活用などについて講演。国・埼玉県・埼玉県内の各市町村職員などが参加した


▼2015年9月の関東・東北豪雨では、台風18号とそれに伴う線状降雨帯の影響から、茨城県常総市などで鬼怒川の堤防が決壊し甚大な被害が出た。隣接している埼玉県東部地域でも床上・床下浸水被害は全体で3000棟を超えた


▼関根教授は「関東・東北豪雨では『知らなかった、知ろうとしなかった』ため多くの人が逃げなかった。リスクをしっかり伝えるとともにどう対応すべきか考える機会になった」と解説。また「土木出身者が自治体の首長をすべき」との持論を展開。災害時に被害を最小限に抑えること、円滑に復旧・復興を進める場合は土木の知識を有する人がトップとなって舵(かじ)を切る方が有効だという


▼先ごろ発表された16年度予算では、15年9月の豪雨で被害を受けた地域を含め、多くの自治体で浸水被害軽減に向けた費用が計上されてはいる。ただし福祉関係費による財政の圧迫など厳しい事情もうかがえ、決して十分な内容とは言えない


▼年々自然災害被害は大きくなっている。水害だけでなく首都直下型地震など今までに経験したことのない災害発生も危惧されている。災害時に限らず自らを守るのは自分自身にほかならない。そのためには「備えあれば憂いなし」を肝に銘じて、各自治体における日ごろのインフラ管理、防災対策など常に関心を持って、新しい知識を備える必要がある。(埼玉・SW)


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