コラム

2016/05/18

ウルトラマンに学ぶ絆(埼玉・HK)

ウルトラマンに学ぶ絆


▼特撮テレビ番組のウルトラマンシリーズは、初代の放送からことしで50周年を迎える。最近の作品を視聴する子どもの横で、昭和シリーズを楽しんでいた自らの幼少期を振り返った。昭和に放送された作品は差別、貧困問題、科学技術への依存、環境汚染などに対する風刺的な作風が多い


▼例えば、初代に登場する棲星怪獣ジャミラは、水の無い惑星に置き去りにされた宇宙飛行士が宇宙の環境に適応すべく怪獣となり、地球に飛来して復讐を図る。最後はウルトラマンの水攻めに遭い、赤ん坊の泣き声に似た断末魔とともに絶命に至る


▼放送当時はアメリカとロシアによる宇宙開発競争の真っただ中で、その激しさに警鐘を鳴らす意図が感じられる。放送の翌年、くしくもアメリカが計画していた人類初の有人飛行、アポロ1号の打ち上げを目前にした訓練中、火災により宇宙飛行士3人が亡くなった


▼長い年月が流れ、身近に存在する脅威も変遷し、また、放送倫理の向上に伴い、子ども向け番組の内容はソフトになっている。2015年12月まで放送されていたウルトラマンXは、主人公とウルトラマン、そして仲間たちが友情を育み、自然発生的に姿を現す怪獣との共存を模索する絆を軸にした展開。刺激的な表現を避けながらも、根底には東日本大震災における助け合いの精神と経験があるように感じられた


▼熊本地震では、支援の在り方について議論がなされている。ウルトラマンを視聴している現代の子どもたちが、助け合いの気持ちを持って成長し、これから来るかも知れない災害に対しても適切な対応を取れることを期待したい。(埼玉・HK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら