コラム

2016/05/21

災害対策は「今やろう」(東京・KK)

災害対策は「今やろう」


▼「天災は忘れたころにやってくる」。物理学者で文学者の寺田寅彦が言ったとされる戒めの言葉だが、最近は「天災は忘れないうちにやってくる」と主張する防災の専門家も出てきた。忘れる時期に差はあるが、いずれも日ごろから用心を怠らないことの重要性を説いている


▼最大震度7を2度も記録した熊本地震は熊本県を中心に大きな爪痕を残した。過去に例のない余震の多さや直後の大雨もあり、甚大な被害が出ている。あらためて自然災害の脅威を思い知らされた


▼熊本地震が発生して真っ先に思い浮かんだのは東京都が全戸に配布している冊子「東京防災」。今回、初めて開いてみたが完成度が非常に高い。一般的に最低限必要な知識から、もしもの際の動き方、実際の災害を想定したシミュレーションが分かりやすく説明されている。想定する災害も首都直下地震、テロ、大規模事故、感染症拡大など多岐にわたる。冊子は重いため、常に持ち歩くことができない点が残念だ


▼いつ、どこで、どのような災害が起きても不思議ではない日本では災害発生を見越した事前の備えが必要不可欠。ただ頭では分かっていても自らが被災しない限り対策が後回しになってしまうのは致し方ない


▼「東京防災」のマスコットキャラクターは黄色いヘルメットをかぶり、黄色いリュックサックを背負った防サイくん。口ぐせは「今やろう」。防サイくんの言葉を聞いて非常用の備蓄食があることを思い出し、慌てて賞味期限を確認したところ、期限切れ寸前だった。災害から身を守るために今できることは、まだまだありそうだ。(東京・KK)


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