コラム

2016/05/25

船橋オートの廃止を教訓に(埼玉・SW)

船橋オートの廃止を教訓に


▼3月21日レースをもって船橋オートレース場が廃止された。最終開催には約1万3000人のファンが来場し最後のレースを観戦した。施行者の千葉県および船橋市を代表し、森田健作知事や松戸徹市長があいさつすると廃止を納得できないファンから「帰れ」など罵声や怒号が飛んだ


▼船橋は1950年に日本初のオートレースが開かれた発祥の地。全国で6場しかないレース場が5場となった。船橋所属の選手は川口、伊勢崎など他場へ移籍。その煽り(あおり)を受けて、さらに競争が激化することなどからベテランを中心に、多くの選手がマシンを降りた


▼普段の開催に近い雰囲気で観戦したいと思い、最終開催前の日曜日に出掛けた。当日は決勝戦が行われ、一流選手は不出場だったものの、船橋開催らしいメンバー構成だった


▼場内に入って感じたのは「終わっている」という雰囲気。「これでは廃止も仕方ない」と実感した。このような状況を作った施行者の怠慢もあるだろうが、これが公営ギャンブルの限界とも言える。きれいだから良いとは言い切れないものの、売り上げの良い頃に施設改善などを行っていれば状況は変わっていたはず


▼レースは激戦が繰り広げられたが、配当の安さは気になった。オートは2012年から払い戻し率を5%引き下げた。これで大口の客が減り、売り上げが減少したといわれる。自ら首を絞めた格好だが、施行者は痛くも痒く(かゆく)も思っていないだろう。割を食っているのは選手であり、車券を購入するファン。オートの失敗を他山の石とせず自治体、業界問わず、そっぽを向かれない取り組みが求められる。(埼玉・SW)


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