コラム

2016/05/27

防災対策と費用対効果(群馬・SS)

防災対策と費用対効果


▼先月、熊本県や大分県を中心とする大地震が発生した。揺れの大きさは最大級の震度7。テレビなどマスコミ報道に接すると、現地には崩壊した建物が数多くあることが確認できる。自衛隊や消防・警察などが懸命に救出活動に尽くしていることも伝わってくる


▼被災した建築物の危険度調査を行い二次的被害を防止するため、建築関係の協会団体や各自治体から「被災建築物応急危険度判定士」の資格を持つ技術者が現地に派遣された。被災建築物の危険度を目視などで応急的に判定し、結果を色紙で表示して住民に注意喚起する。危険な建物なら赤、安全なら緑といった具合だ。地味ながらも大切な仕事。出発式で「被災地の力になれるよう頑張ってくる」と力強く語る派遣側の姿が印象的だった


▼「公共事業と言えば?」と質問すれば、多くの人からハコモノ、道路といった答えが返ってくるのではないか。特にハコモノはバブル時代の象徴などと揶揄(やゆ)され、公共事業批判の代表選手にされがちだ。道路にしても、費用対効果の観点から、数字だけで事業の有益性が判断されることが多い


▼熊本地震の前から、政府や地方自治体は防災・減災対策を進めている。近年は局地的な集中豪雨や台風の大型化が顕著になっている。昨年の関東・東北豪雨により決壊した鬼怒川の様子は、今なお脳裏に焼き付く


▼公共事業の有益性を費用対効果で表すのも一つの手法だろう。しかし、防災対策により守られるものは人命であり、その価値や事業の有益性は数字で表されるべきではない。防災対策にやり過ぎはないはず。万全に万全を期してほしい。(群馬・SS)


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