コラム

2016/06/02

事前準備と臨機応変(長野・JI)

事前準備と臨機応変


▼遊びに行ったライブハウスで、ジャズピアノ初心者の女性と知り合った。クラシック出身で、これまではジャズの演奏技術をバカにしていたらしい。しかし実際に足を踏み入れて予想外の事実を知る。「まさか楽譜がないなんて」。ジャズのアドリブ演奏に譜面はない。その自由が楽しくもあり、難しい部分でもある


▼ジャズ演奏を趣味にするようになってからというもの、アドリブには悩まされ続けている。知識不足では音楽にならない。簡単にやれば面白くない。理想を掲げても技術が追いつかない。追究し始めるとその奥深さに頭を抱えることになる。結局は技術力と向き合って、今の自分をさらけ出すしかない


▼人との関わりはいつでもアドリブだ。周囲にいる知人や他人と何を話すかどんな空気になるか。意気投合する場合もあれば、不信感しか生まれない時もある。無理に盛り上げようとすると、空回りする。結論を急ごうとすれば歩調が合わない


▼インタビュー取材では、相手に多くを語ってもらう必要がある。うまくいかず何度も冷や汗をかく経験をした結果、今では質問事項を事前に考え、話の内容によって順番を入れ替えたり割愛したり、さらに突っ込んでみるようにしている。冷静に淡々と進めることで、間違いや聞き漏らしを防ぐ


▼ジャズ演奏の現場では、何が起きるかわからない。これまでの練習や当日の気分はどうか、他のメンバーがどう演奏し、自分はどう応じるか。仕上がりの予測はできるが、現実にはその場で決まる。事前準備や臨機応変な対応が必要という意味では、ジャズとインタビューは似ているようだ。(長野・JI)


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