コラム

2016/06/15

リニアの時短国土を変える(山梨・MK)

リニアの時短国土を変える


▼東京(品 川)と名古屋、大阪という3大都市圏を超高速で結ぶリニア中央新幹線は、日本の国土構造、マーケット構造を変える可能性がある…。過日開かれたリニア建設促進山梨県期成同盟会の総会後の講演で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの加藤義人氏が指摘した


▼加藤氏の分析によると、現在、品川から鉄道か道路を使って2時間で到達できるエリアは首都圏や名古屋などで、エリア人口は約4100万人。国内の「2時間到達エリア人口」としては最大だ。しかし、リニアの品川~名古屋間が開通すると、名古屋起点の2時間到達エリアの人口は約5900万人となり、品川起点を大きく上回る


▼現在、国内最大の「2時間圏マーケット」は東京だが、リニア開業後は名古屋に変わる。これは「わが国の歴史で、あり得なかったこと」と加藤氏は言う。リニアによる時間短縮があまりにも圧倒的なためだ。さらに、議論だけで実現していない東京一極集中の是正、均衡ある国土づくりにも寄与すると指摘した


▼国土交通省がまとめた「国土のグランドデザイン2050」では、大都市圏域として「スーパーメガリージョン」が形成されるとしている。形成される場所とは、2時間で往来ができるリニアのエリアだろうと加藤氏は予想する。これまでは太平洋ベルト地帯にさまざまな機能が集積してきたが、リニア開業後はリニア沿線エリアに機能が集まるとも指摘した


▼JR東海の計画では品川~名古屋間は40分、品川~山梨県駅は25分で結ぶ。驚異的な時間短縮により、日本のマーケット構造も変えるかもしれないリニア事業から目が離せない。(山梨・MK)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら