コラム

2016/06/16

進化する技術と人の手(東京・KK)

進化する技術と人の手


▼実家に帰省すると玄関の前にはレーザー測量機が置かれ、土地家屋調査士が測量作業を進めようとしていた。何事かと尋ねると地図作成のために町内全体の境界を確定させる作業だという。隣家との間を通り、家の奥まで立ち入る許可を求められたが、物腰の柔らかい丁寧な要請を受け、二つ返事で了承した


▼国土地理院はNHKの『ブラタモリ』制作スタッフに対し本年度の「測量の日」における功労者感謝状の贈呈を決めた。さまざまな地図を分かりやすく使いつつ街の魅力を紹介する番組は人気が高い。視聴者が地図や地理に対する興味を持ち、親しみを得るきっかけになった功績が大きいとしている


▼全国を初めて科学的に実測し、詳細な日本地図を完成させた伊能忠敬は複数の距離と角度を測るトラバース(多角)測量を用いた。特に誤差の修正に気を配りながら17年にわたり全国を歩き、精度の高い日本地図を作り上げている。日本の近代地図の先駆けとされる『伊能図』は現在の地形図の源流に当たる


▼地図作成に必要な測量では、今後ドローンに代表される無人航空機を用いた3次元測量が急速に進む見通しだ。特に人が立ち入ることが困難な場所や広大な敷地ではドローンによる写真測量の需要が高まっている。技術の進歩に伴い、近い将来ドローンによる測量が当たり前の時代になるだろう


▼地図はその時代の技術力を駆使して人の手によって作られる。ドローンは人が操縦しなければ動かない。また3次元測量で取得したデータを使うのも人である。3次元測量の時代に人の手によって作られる新たな地図が楽しみだ。(東京・KK)


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