コラム

2016/06/21

ひと呼吸置いて(新潟・HT)

ひと呼吸置いて


▼「エレベーター扉の『閉ボタン』は、せっかちな人間のためのものだ。バリアフリーの観点から無くすべき」|。ある施設の新築事業で、基本設計に対する意見募集で寄せられた声だ


▼エレベーターに乗り込もうとしたとき、直前で扉が閉まったり、扉に挟まった経験は誰もが一度はあるのではないか。また閉まる扉の間から乗り遅れた人の顔が見えると申し訳ない気分になる。『閉ボタン』を押したことが原因となることも多い


▼先日、実際にビルのエレベーターで、目的階のボタンを押した後、そのまま待ってみた。結果は「上にまいります」のアナウンスがあって扉が閉まるまでは、ほんのひと呼吸だった。もちろん全てのメーカーというわけではないだろう。確かにひと呼吸を惜しみ『閉ボタン』を押すことは、せっかちとの見方もできる


▼厚労省新潟労働局が発表した2015年度の管内労働災害発生件数は過去最少となった。このうち建設業の死亡災害は前年度と同数だったもののピーク時から見れば半数以下まで減少した。受発注者双方の取り組み成果もあるが、仕事量自体が減少したことが一因であることも否定できない。皮肉なことに死亡災害の減少は、仕事が減ったことによる明るい話題だ


▼これから仕事が増え忙しい時期を迎える。焦りがミスを呼び、ミスが事故を呼ぶ。誰もが知っている悪循環だが、焦っている本人が一番気付かない。そんなときこそ普段の生活や何げない行動の中で、ひと呼吸置いてみてはどうだろう。知らぬうちに焦っていたりせっかちになっている自分に気付き、心に余裕が生まれるかもしれない(新潟・HT)


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